正絹生地の『フラットクレープ』は、最高級の品質等級の「6A」の生糸(きいと)を使って、シャトル織機(しょっき)で作られます。
経糸(たていと)に撚糸(ねんし)※など加工を施さず、生糸そのままの状態で織り上げることが一つの特徴です。
(※撚糸とは単糸をより合わせた糸のことです。また、糸によりをかけることを言います。)
正絹生地の『フラットクレープ』の特徴は「細番手・高密度」丈夫でありながら「滑らか」
”クレープ”とは表面に細かいさざ波状のシボとも呼ばれる凹凸が現れている布生地の事で、
代表的なクレープ織物には縮緬(ちりめん)があります。
『フラットクレープ』は特にシボ凹凸が滑らかなクレープ生地のことで、表面がほとんどフラットに見えるので
このように呼ばれています。「フランス縮緬」とも呼ばれます。
手触りは独特のやわらかさとしなやかさがあり、見た目は羽二重に似ています。
また、正絹(しょうけん)とは、100%絹糸を使って織られている生地のことです。
絹は世界の90%のシェアを中国にて生産されています。
生糸は、現在世界の中国の国際絹協会(ISS)が定めた最高級の品質等級の「A6」を使用しています。また、生糸以降の工程(糸の糊付け・糸繰り・整経・撚糸(よこ糸)・製織・精練)は、日本国内で行っています。
国際絹協会(ISS)は、1952年に中国で設立された、絹の研究開発、生産、販売促進を目的とした国際的な組織です。ISSは、世界中の絹生産国・地域の政府機関、企業、団体などを会員として擁し、絹の品質向上、生産効率化、マーケティング活動などを支援しています。
生糸は撚糸と比べ弱いため、シャトル織機※によって低速に織り上げます。
中国など量を求める生産地では、糸に加工を施し高速レピア織機で織り上げて生産性を上げます。
※シャトル織機(しょっき)はヨコ糸を杼(シャトル)と呼ばれる横糸を取り付けたものが
左右に往復しながら織り込んでいく装置です。
時間がかかりますが、生糸のまま織ることで滑らかで上質な生地に織り上がります。
生地の厚みを表す匁(もんめ)
匁(もんめ)とは重さや厚みを表し、尺貫法(しゃっかんほう)という単位では
1匁は1貫の1000分の1で、約3.75グラムです。
あまり聞き慣れない単位ではありますが、これは主にタオルなどの厚さを表す目安の一つとしても利用されています。
当社の『フラットクレープ』は16匁。重さでいうと約60gとなります。
16匁は、非常に軽くて薄手。しなやかさのある厚みになります。
例えば、100という太さの糸を作るとき、「10の細さを10本束ねたもの」と「50の太さを2本束ねたもの」、
どちらも100の太さになります。
当社の『フラットクレープ』は前述の方で、細い生糸を多く経糸整経し、高密度な織物設計になります。
そうすることで、滑らかな風合いでありながら丈夫な生地になります。
糸使い、織り方は単純ですが、糸本数が多いこと、高密度であることから、
経糸・緯糸ともに準備※するのに後者より多く時間を要します。
(※準備=糊付け、乾燥、糸繰り、整経、緯糸管巻き)製織も同様に、糸本数が多いこと、またシャトル織機ではレピアなどの高速織機ほど
回転数を上げられないため、どうしてもその分時間が掛かります。
シンプルゆえに素材の欠点が現れやすいことから、常に人の手を必要とし、
安定した品質と高度な技術が求められるのがこの正絹生地のフラットクレープなのです。
高速織機で大量生産を求める海外品と比べると、人の手と時間を要することから、
価格についても比較すると高く感じられるかもしれません。
しかし、この生地の品質をみていただければご納得いただけると思います。
商品の生産から消費までの過程を追跡する、いわゆるトレーサビリティを把握できるよう
「養蚕、製糸、製織、精練、染色」と生地が出来上がるまでの品質管理と意識の共有を、
各繊維業態の売り手であるサプライヤー様とできる限り心がけています。
品名、目付でおなじ商品ができたとしても、どのように作られているのか?
同じ商品でも仕上がりはどうか?風合いは?ドレープ性はどうか?といったことは
設計や工程の進め方によって変わります。
その良さと価値は、風呂敷として使用したときに、より実感できるものだと思います。
デザイン技法について
フラットクレープ16匁は「豊彩色インクジェット」での製作となります。
イラストレーター完全データの入稿方法 完全データ入稿での風呂敷価格表 オリジナル・オーダー風呂敷事例